あらん的青春の輝き
高校3年生の時、毎週学年共通の英単語テストがあった。
事前に試験範囲(春に配布されてる英単語辞典の○p~○pてな具合)は知らされるのだが、我がクラスはほとんどの奴等がやる気がなく、もちろん私も例外ではなかった。
テスト日当日の朝に3~5分位試験範囲のページを眺めるだけ。たまたま覚えているのが出たらラッキーぐらいの感覚。
んなもんだから、大体いつも点数は30点ぐらい。でも、もともとやる気が無いのだから、悔しいとも思わないし落ち込みもしない。
「あっそ。そりゃ、そうだろうな。」ぐらい。
そして、同じ様な考えの奴等がゴロゴロしている為、当然我がクラスの平均点は低い。
担任のM(こやつ、今は教師を辞めて何やら偉い立場になっていて、時々TVや新聞で見かける)が言うには、毎回8クラス中ダントツの最下位なんだそうだ。
だから、いつも
「君たち、職員室での私の立場を考えた事があるかね。いっつも最下位だよ。しかもダントツだよ。1位とまでは言わないけれど、たまには順位を上げようよ。」
なんて言ってた。
だけど、
「ウィーッス。」
なんて気の無い返事で、次もまた最下位。
そんな事が何回も続いたある日の休み時間、クラス委員が突然教壇に立って、
「みんな、ちょっと聞いて。今度の英単語テストなんだけれど、みんなで一生懸命勉強して、1度でいいから学年1位になってみない?」
最初は「へ?」ってみんな思ってたんだけれど、クラスのお調子者が
「あ~、いいね、それ!突然1位になったら、M驚くだろ!」
と乗ったもんだから、
「おおっ!それ、面白そう!」
「どうせならさ、絶対Mには勉強してるってのは秘密な!」
「よっしゃ、絶対1位取ってやろうぜ!」
なんて、みんな乗り気になっちゃった。
その日から、急に休み時間になると英単語辞典を見て勉強を始める奴等が続出。でも、もちろん大人と他のクラスの人がいない時だけだけどね。
そしてテスト日当日。
何も知らないMは
「また、君たちにとっても私にとっても嫌な日が来ちゃったね。まあ、せいぜい頑張って」
などと溜め息まじり。
んで、結局どうなかったと言うと・・・。
次の日。
「君たち、何があったんだ?昨日のテスト・・・学年で1番だったよ。」
教室に入ってくるなり目を丸くしたMが伝えると、教室中は大歓声。
そう、それまで毎回学年で最下位だった我がクラスは、見事に突然学年1位に成り上がったのであった。
んで次の週。
「君たち、何これ?前回いきなり1位になったかと思ったら、今回また最下位だよ。君たちは一体何なんだ?何が何だかわからんよ。」
教室に入ってくるなり呆れた顔でMが伝えると、みんな苦笑。
「いいじゃん。1回でも、いい思いしたんだからさ。」
とお調子者が一言。
そう、最初から「1度だけ」であり、次の週からは、また誰も勉強せず。
その後、結局最後まで我がクラスの最下位は続いたのであった。
でも、この出来事って何だか凄く「青春」を感じるんだよね。
出来の悪い連中が、みんなで1つの目的に向かって協力し、見事に1位になったんだもん。
そして、それを実行できたのは、あの年代の若者たちだけがもっている純粋さのおかげ。
私の中では「青春」を象徴する出来事。
そう、糞みたいな私の人生の中で、唯一と言っていい位、輝いてる
出来事なんだよ。
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